地検川崎支部が、強制わいせつ被告事件の被害者とされる女性の住所が出ている証拠を、マスキングしないで弁護人に開示したことを問題視するかのような報道がなされています。地検川崎支部は、被害者とされる女性に謝罪したようです。
しかし、本件では、被害者とされる女性に対する証人尋問が行われているようですから、刑事訴訟法299条1項の規定により、この女性の住所は、弁護人に開示されなければなりません。弁護人には、証人尋問に先立って、事情聴取等をするため、証人にアクセスする機会が保障されなければならないのです。
この報道が、被害者とされる女性の住居が弁護人に開示されたこと自体を問題視するとすれば、おかど違いというほかありません。
地検川崎支部や、地裁川崎支部が、弁護人に対して、「弁護人は、被害者を特定できる事項を、被告人にはナイショにします」という誓約書の提出を求める、などというおかど違いのことを始めないか、心配です。(彦坂)